モーニングコート製造の難しさ

  1. モーニングコートとは?
    モーニングコートは、結婚式や公式な行事で着用される男性用フォーマルウェアの最高峰です。ジャケット、ベスト、パンツの3ピースで、ジャケットのシルエットと縫製には非常に高い技術が要求されます。モーニングコートの美しいシルエットは、職人の技術と経験が織りなす芸術の結晶と言えるでしょう。                          
  2. 縫製が難しい理由
    モーニングコートは、その特異なデザインとフォーマルウェアとしての厳格な基準から、製造が非常に難しいとされています。

a. 複雑なシルエット
モーニングコートは前が短く、後ろが長い独特のシルエットを持ちます。このデザインを美しく仕立てるためには、ジャケット全体のバランスやカットが非常に重要です。肩周りや襟の仕立てはもちろんですが、前裾から後ろに向かうカーブは縫製が難しく、この部分が全体のフォルムに大きく影響を与えるため、高度な技術が求められます。

b. 厳格な品質基準
フォーマルウェアとして、モーニングコートは細部に至るまで高い品質が求められます。例えば、襟や裾のライン、ウエストの切り替え、ボタンホールの仕立てなど、どれも一流の職人による手作業が必要です。このため、モーニングコートを製造できる工場や職人は限られています。

モーニングコート前ボタンのアップ
  1. 日本国内の縫製工場の現状
    日本国内でモーニングコートを製造できる工場は年々減少しています。その理由として、以下の点が挙げられます。

a. 職人の高齢化
日本国内で製造されたモーニングコートは、その高い技術により高評価を受けています。職人の技術が詰まった一着は、まさに芸術品とも言えるでしょう。しかしながら、モーニングコートのような高度な縫製技術を持つ職人の多くは、長年の経験を積んだベテランです。これらの職人達が高齢化し、後継者が不足している現状があります。若手の育成が追いつかないため、この伝統的な技術が失われつつあります。

b. 需要のバランス
高度な縫製技術を要するモーニングコートの製造は、コストも高くつきます。しかしながら一般のスーツなどと違い、普段使いとしての需要が期待できません。そのため、新規参入する縫製工場はほとんどありません。

  1. 国産モーニングコートを選ぶ理由
    フォーマルな場にふさわしい装いを求めるなら、国産のモーニングコートは最良の選択肢です。その品質はもちろん、職人の手による細やかな仕立てがもたらすフィット感と美しさは、他に代えがたいものがあります。国産モーニングコートを手にすることは、伝統と技術を守り続ける職人たちへの敬意を表す行為でもあります。特に結婚式という人生の大切な場面では、最高の一着を選びたいものです。

まとめ
モーニングコートの製造は、職人の技術と経験が求められる非常に難しい作業です。日本国内の縫製工場は年々減少しており、国産モーニングコートは希少な存在となっています。そんな国産のモーニングコートは、職人の技が光る一着であり、特別な場面にふさわしい装いを求める方にとって、最良の選択です。モーニングコートを選ぶ際には、その希少性と価値を理解し、最高の一着を見つけましょう。

記事監修 イデアス株式会社

大阪市淀川区にて40年以上にわたり礼服の製造・開発に取り組んできた実績を持つ企業。
すべての縫製工程は日本国内で行われており、車椅子用のユニバーサルデザインモーニングコートや脚長効果のあるヒールアップシューズのレンタルサービスも展開。
結婚式や各種式典で使用されるフォーマルな衣装を、品質に強いこだわりを持ち提供。

執筆者 大谷真司 イデアス株式会社代表取締役

タキシードレンタルドットコム」の最高責任者。

1990年 大阪の総合結婚式場において洋装部の責任者としてキャリアを開始。
1995年 全日本冠婚葬祭互助協会の2級冠婚士資格を取得。
1996年 法人向け貸衣装部の責任者に就任。
2006年 独立。宅配レンタル専門の「タキシードレンタルドットコム」を創業。
2016年 日本フォーマル協会のフォーマルスペシャリストゴールドライセンスを取得。