今回は、私が結婚式場のスタッフとして現場で経験した結婚式と、先輩方から伺ったエピソードを交えながら、結婚式の形式についてお伝えします。個人的な感想も織り交ぜていますので、ぜひお楽しみください。
結婚式(挙式・披露宴)の形式
私がブライダル業界に入った1990年当時、勤務していた結婚式場では、挙式形式の割合が以下の通りでした。
- 神前式:約70%
- 仏前式:約20%強
- キリスト教式:10%未満
当時のキリスト教式は、信者が普段通う教会で行う「教会式」が主流でしたが、現在では結婚式場やホテル内のチャペルで行われる「チャペル式」が一般的になっています。また、宗教にとらわれない「人前式」も増え、挙式形式の多様化が進んでいます。
さらに、今では珍しくなりましたが、当時の挙式の90%以上では仲人(媒酌人)を立てていました。現代では仲人を立てる必要がなくなり、新郎新婦にとって精神的にも経済的にも負担が軽減されています。
各形式の特徴
- 神前結婚式
神社で行われる伝統的な挙式で、三三九度の杯や玉串奉奠といった儀式が特徴です。 - 仏前結婚式
仏教寺院で行われる挙式で、宗派によって異なりますが、数珠を持ち合掌し、仏様やご先祖様に誓いを立てます。 - キリスト教式
教会やホテル、結婚式場などで行われる挙式で、キリスト教の神に誓います。新婦がバージンロードを歩く姿が印象的です。 - 人前式
神仏ではなく参列者に誓いを立てる形式です。チャペルや宴会場など、会場を自由に選べるため、個性的な演出が可能です。
結婚式場スタッフとしての私の記憶
私が初めて披露宴を見たのは中学生の時でした。その披露宴では、新郎新婦がゴンドラに乗って登場するという豪華な演出が行われ、その光景は今でも鮮明に覚えています。後にその結婚式場で働くことになりましたが、実はその会場はゴンドラを設置した国内初の式場で、当時はメディアにも大きく取り上げられました。その影響もあり、1年間で1,200組以上の結婚式が行われたそうです。
私が勤務し始めたころにはそこまでの組数はありませんでしたが、日曜祭日の大安吉日には1日20組以上の挙式が予定されることもありました。中には始発で出勤し、夜遅くまで働く先輩スタッフもいらっしゃいました。それでも先輩方が「この仕事が楽しい」と笑顔で語っていたのが印象的でした。
昔の結婚式における両親の役割
当時の披露宴では、新郎新婦の両親が「主催者」として重要な役割を果たしていました。特に父親はホスト役として招待客や仲人、式場スタッフに気を配り、忙しい中でも大役をこなしていました。また、結婚式の費用は多くの場合、両親が負担しており、まだ子どもが成人していない段階から「互助会」という積み立て制度に加入し、月々コツコツと資金を準備していました。
こうした長期的な準備を経て、子どもの晴れの日を盛大に祝うという姿勢は、当時の結婚式ならではの特色と言えます。
まとめ
現代の結婚式は、新郎新婦が主体となり、形式や費用の負担も大きく変化しました。しかし、過去の結婚式には日本独自の伝統や文化があり、そこから学ぶことも多いと感じています。これからも、歴史を振り返りながら結婚式の魅力をお伝えしていきたいと思います。
記事監修 イデアス株式会社
大阪市淀川区にて40年以上にわたり礼服の製造・開発に取り組んできた実績を受け継ぐ企業。
すべての縫製工程は日本国内で行われており、車椅子用のユニバーサルデザインモーニングコートや脚長効果のあるヒールアップシューズのレンタルサービスも展開。
結婚式や各種式典で使用されるフォーマルな衣装を、品質に強いこだわりを持ち提供。
執筆者 大谷真司 イデアス株式会社代表取締役
「タキシードレンタルドットコム」の最高責任者。
1990年 大阪の総合結婚式場において洋装部の責任者としてキャリアを開始。
1995年 全日本冠婚葬祭互助協会の2級冠婚士資格を取得。
1996年 法人向け貸衣装部の責任者に就任。
2006年 独立。宅配レンタル専門の「タキシードレンタルドットコム」を創業。
2016年 日本フォーマル協会のフォーマルスペシャリストゴールドライセンスを取得。